映画面白いのにねえ〜ニュース「洋画離れ止まらず。興行収入4割減少」を読んで〜

痛いニュース(ノ∀`):洋画離れ止まらず。興行収入4割減少…“若者の字幕嫌い”などが原因か

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1168502.html

元の2chカキコミとブクマのコメント欄あたりから見える『原因』は以下になるだろうか?

値段の高さ

なるほど1800円は高い。しかし、ボクはここ最近で1800円払ったのは「ダークナイト」くらい。先行で見て、終電を逃さず帰れるのが『史上最低の映画館』の名をほしいままにしている新宿バルト9だけだったので渋々。
バルト9が本当に最低なのは未だにチケット売り場とパンフレット/グッズ売り場の混雑を解消しようとしない無反省な姿勢と、前売り券が使用できない事が多いから。「ダークナイト」も前売り券を受け付けてくれなかった。
今月は休日出勤が多くて劇場へはまだ8回しか行けてないが、この週末には見たい映画が4〜5本あるし、毎月最低でも15〜20回くらい映画館に行くので、全部に正規の金を払っていたら2万7千円〜3万6千円。まぁ月に3万前後なのでええじゃないかと思うだろうが、ボクだって富豪じゃない。金をセーブできるならなるべくセーブしたい。
そこで!日本の映画興行界には「前売り券」という独自なシステムがあって、事前にチケットを買えば1300〜1500円で映画が見れるんだよ。っと当たり前すぎる事をことさら改めて言わなければいけない程、みんなが『1800円!1800円!』言ってんだがアレは何なんだ?
さらに、初デートで映画館に来た賢明な人は、本編上映前にくっついてくる予告編をネタに劇場を出てスグに「あの予告をやっていた映画、面白そうだね。また一緒に見ようよ。前売り券買おうよ。」と次のデートの約束を取り付けているのだ!
公開前ならストラップや携帯のスクリーンガードやらオマケがついているので、公開劇場で直接買えば良い。公開後に買う場合、「大黒屋」だとか新宿ガード下に並ぶ金券ショップは使ってはいけない。あそこは映画に出資した会社から、政治的な理由で大量にチケットを買うハメになった下請け会社の営業あたりが、そのチケットを売った物を店頭に並べている。それは興行収入にすでに加算された分だからだ。
チケットぴあの窓口や新宿ならばツタヤの1階で買えば、10円〜20円ほど高くなるが、多少なりとも映画業界へ貢献が出来るという事だ。忘れんなよ!
「単館モノ」と呼ばれる様な映画はあまり見ないし、映画といえば近所のシネコンだという人には、それぞれのシネコンの割引特典のあるメンバーシップに加入するのも良いだろう。
それと、パンフレットもなるべく買おう。あれは楽しいし良い紙に写真がたくさん掲載されていてきれいだ。運が良ければ滝本誠氏や柳下毅一郎氏、町山智弘氏などの卓越した批評文も読める。そして、パンフの売り上げは直接劇場の物になるので、バルト9で見た映画のパンフは他の劇場で買おう!窓口で「パンフレットだけ欲しいのですが・・・」と聞けば絶対に好意的に対応してくれる。

字幕読むのがわずらわしい。

字幕はボクもわずらわしく思う。英語はミフネイングリッシュしか話せないし、ヒアリング能力もあまり無い。それでも英語なら解る部分もあるが、香港映画やスペイン語圏あたりの映画はまったく解らない。だったら思い切って字幕なんか見なけりゃイイのだ。
ボクもよくやる。だいたい「字幕読むのがわずらわしい!」と言っている様な奴が見るのは派手なアクション映画かSF/ファンタジー映画だろう。そんな映画はだいたいのスジを把握していればイチイチ字幕読む必要なんか無い。字幕を追って画面を追いきれないなら、むしろ画面の方に集中すべき。チラチラと視界に入る字幕の単語と俳優の演技で物語は充分に理解できる。達者な演者ならセリフなど遠く及ばない程雄弁な表情を作るし、大根ならばより記号的な演技になるので、セリフ程度の情報は読み取れる。
ボクは日本で見れない映画を輸入DVDで見るのだが、当然字幕は無い。それでも面白い映画なら言葉を完全に理解ができなくても充分に面白い。付け加えると、先走って面白い映画を輸入DVDで見てしまい、後で日本公開された場合には当然劇場に駆けつける。最近だと「マーダーライドショ−2」や「ホットファズ」は輸入DVDで買って見た上に劇場へも行ったよ。

他人が許せない。

ガサゴソうるさいのなら、席を変われば良い。ただ、ある種の人には苦痛だろうが、ソレも“映画”なのだ。映画というのは『コンテンツ』である以前にイベントなのだ。アメリカでホラー映画が公開週にかならず上位(あわよくば1位)に食い込むのは、『みんなでホラー見てギャーギャー言おうぜ!』という文化が根付いているからだ。本来、映画というのは他人と共有したスペースで他人の反応も踏まえて楽しむ娯楽なのだ。なので、DVDで借りて見ただけでは、その映画を鑑賞した事にはならない。単にコンテンツを把握しただけだ。
解り易い例を上げると「ロッキーホラーショー」をビデオなりDVDだけでしか見た事の無い人はコンテンツとしての「ロッキーホラーショー」は見ただろうが、真に「ロッキーホラーショー」を見た事にならない。
名画座でボクが生まれる前に上映されていた古い映画を見る事があるが、それは必ず「以前上映されていた映画に思いを馳せる」事:コンテンツの確認と郷愁にしかならない。例えば東映のヤクザ映画は必ず2本立てでの上映となっていたし、今の客とは全く別のグルーブを持った人がいて、高倉健藤純子の登場に「ヨ!健さん!」と声をかけ、拍手をしていたらしい。
脚本家の一色信幸はニューヨークで「ロボコップ」を見た際に、黒人たちが後ろの方の席をひっこ抜いてダンスフロアを勝手に作り、ガンガンにヒップホップをかけて踊りまくり、アクションシーンになると「ロボコップロボコップロボコップ!」と拳を振り上げて盛り上がっていた風景を『いいなぁ・・・』と眺めていたそうだ。
ロボコップ」の例は極端だとしても、映画というのは上映された時代や季節、観客の空気まで含めた物である。今、ロードショー公開されている映画をロードショー館で見て初めて映画である。
自慢話だが、ボクは「戦慄の絆」を劇場で見た*1。あの時、同じ劇場で見たボク含めた、たった3人の“作品を独占した”劇場の空気は、他の何にも代え難い幸福だった。

知ったかぶる。

はてさて。こいつが一番やっかいだなぁ。元のカキコミとブクマコメントから代表的な物をとりあげてみる。簡単に「ばーか。死んでしまえ。」と平熱に言い放ってしまいたい気持ちになるが、ここは建設的に意見してみようじゃないか!
「ハリウッド映画って、中身がみんな同じなんだもの」
それは中身が同じ映画しか選んでないからだ。たとえばディザスタームービー一つ取っても「デイ・アフター・トゥモロー」と「ハプニング」には雲泥の差があるし、冒険活劇ものでも「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」と「ハムナプトラ3」にはそれぞれ全く異種の魅力がある。もちろん「ハプニング」と「ハムナプトラ3」の中身が同じなんて事は無い。中身が同じなのは「バタリアン」と「バタリアン2」くらいなものだ!こういう事を言う人は向こう一生劇場に年間1億回行きなさい。
「アメ公の作る映画はストーリーが単純すぎる。正義の主人公がいる。主人公に敵対する悪がいる。両者がガーンとぶつかる。主人公が勝って、ヘイ、ビクトリー♪こんなの幼稚園児だって飽きる」
「現役高校生だけど、少なくとも自分の周りに字幕を敬遠する奴はいない。単に料金が高いのと内容がワンパターン(ドンパチやって最後に星条旗掲げて終わり)なだけ。」
今どきそんな映画は無い。少なくとも今年に入って「ヘイ、ビクトリー♪」なんて映画は思い出せない。「ミスト」を見て反省し、向こう一生劇場に年間1億回行きなさい。
「CGには感動しない」
最近の映画でどこのどのシーンがCGで作られているのか、いちいち見破れる人はXメン並みの超能力者だと思うのだが、まぁ嫌味は置いといて、アニメなんか全部絵(“コンピューターグラフィック”を言葉通りに解釈すれば、画面に写っている物すべてCG)だし、人形浄瑠璃なんて黒子が丸見えでも面白いので、自分の感覚を絶対的に否定した上で悔い改め、向こう一生劇場に年間1億回行きなさい。
「洋画って迫力はあるけどつまらない。」
それは迫力ばかりでつまらない映画ばかり選んで見ているからだ。「クローバーフィールド」を見て猛省して向こう一生劇場に年間1億回行きなさい。
「「恋入りの勧善懲悪アクション」(敵役がアラブ人)か「理不尽な設定からの脱出」じゃ客は飽きる。」
敵がアラブ人で恋入り勧善懲悪アクションって「ハムナプトラ」の1作目以外になんかあるのか?あと、「理不尽な設定からの脱出」は「キューブ」以外になんかあんのか?視野が狭過ぎるのでルドビコ療法*2で視野を広げながら向こう一生劇場に年間1億回行きなさい。
「アメコミ原作にはもう飽きたんです。」
「300」と「ヒストリー・オブ・バイオレンス」と「ゴーストワールド」と「スパイダーマン」シリーズと「ダークナイト」を並列に語るのは、頭が悪すぎです。向こう一生劇場に年間1億回行って違いのわかる人になりなさい。

実は・・・

実は上記した様な「高い!」「字幕が追えない!」「マナーの悪い奴が嫌!」「マンネリ!」といった映画/映画館を批判する言葉というのは、本当に昔っから常套句として言われ続けている。今、始ったワケじゃないのだ。
「CGじゃ感動できない」なんてのはCGがCGらしく使われている映画、「ハムナプトラ」だとか「マトリックス」が嫌いなだけで、他の種類の映画の方が多いのにソッチには言及せず映画全てを「CGじゃ感動できない」と切って捨てているワケだ。
それはおよそ、今まであまり映画を見ていない事を正当化したいがための言い訳なんじゃないだろうか?「洋画離れ止まらず」という否定的なニュースに加担した者の言い訳。
「映画を見に行く」という行動は他のレジャーなんかよりも日常化しやすいので、ぜひとも多くの人に劇場に通って欲しいものだ。そうすれば「俺たちフィギュアスケーター」や「ホットファズ」という様な心底面白い映画が劇場でヒットする健全な体質が出来上がるだろうから。
電通あたりのマーケッターの実態の伴わない言葉を信じてクソつまらん映画を作ったり公開している会社の人もやはり年間1億回は劇場へ行くこと。そうすれば相対的に堤幸彦の映画がどれほどツマらないか気付くでしょう*3

という事で、何百人か年間1億回劇場へ向かうべき人がいるので、がんばってください。
そして、偉そうに、たいして知りもしない事に上段から物を言う時には必ず、自分よりも物知りな人が世の中にいる事を知るベキである。
そして今、ボクは正座してちっちゃくなっているので、ボクより物知りな人はどうかボクをしからないで欲しいのである。

*1:今となっては巨匠の風格すら持つデビッド・クローネンバーグ作品だが、公開当時、不入りで2週間で打ち切りになった。大傑作なのに。

*2:「時計仕掛けのオレンジ」であわれアレックスくんが目を閉じられない様にしてゴアフィルムを見続けさせられた療法

*3:堤幸彦の映画は絶対的につまらないんだけどね。「20世紀少年」監督、プロデューサー以外のスタッフのみなさま、御愁傷様でした。